ぶらぶらBG3 01
イントロ
はじめましてかたにくと申します。BG3の「読解」という主旨のブログを書いています。
BG3の細かい設定や、日本語と英語の差異などに目を通しながら、物語をもう一度味わおうという主旨のブログです。
私が調べたり再翻訳した情報を共有し、皆さまのロールプレイに役立てれば幸いです。
用語を調べるにあたって:主に[Forgotten Realms Wiki]およびその他D&D系ファンサイトなどから情報を引用しています。
ゲーム内テキスト英語原文:[BG3 wiki]から引用しています。
英語翻訳に関しては独学および、アメリカに住んでいる家族に協力していただきました。
(Thank you for Sota.)
至らない点もあると思いますが、ご容赦ください。
注意点
・あくまで個人が翻訳または意訳したものです。正確性を保証する内容ではありません。
・ブログの中でたまに、推測や場合によっては妄想に近い領域にまで踏み込んで解釈を試みることがあります。その際には必ず推測、妄想であることをお伝えしますので、その部分は参考までにお聞きください。
・ブログの目線についてですが、まったくBG3をやったことがない人にもわかる内容にしようと考えています。なので、プレイ済みの方にとっては多少まどろっこしい説明があるかもしれませんがご了承ください。
ではさっそく、主人公がノーチロイドで目を覚ます最初のシーンから見ていきましょう。
ルーンの石板1
船からの脱出が始まって最初に読めるテキストです。
「幻視が精神に投影される。ノーチロイドが次元を疾走し、サイオニックの力で輝いている」
ここはそんなに突飛な訳はされていません。幻視が精神に投影される。石板に触れると、心にその映像や情報が直接入ってくる。というような描写で、このイリシッドの石板がどのようにして情報を媒介しているのかという説明になっています。
ルーンの石板2
「ゴブリンのイメージだ、ゴブリンの習性や歴史があなたの心に流れ込んでくる」
こちらもごく普通の訳ですね。手術台のようなものに寝かされているゴブリンの死体と併せて、イリシッドがゴブリンについてなにかしらの研究をしていた、という状況を匂わせるものになっています。
ルーンの石板3
「ノーチロイドの構造が頭に入る。神経、腱、船として生きる」
このあたりから難しくなってきます。
私は初めてこれを読んだとき、「船として生きる」ということは、ヒューマノイドがノーチロイドに変成してしまうということかと思ってしまいました。ですが英語のナレーションではこう言っています。
“A schematic of an Nautiloid flashes into your mind. Nerves, sinews, as much living being as ship.”
私が混乱した「船として生きる」は”as much living being as ship”こちらを直訳すると”船であることと同じくらい生き物でもある”となり、少し意訳するなら「船であると同時に生き物でもある」が最も自然かと思います。
なので単にノーチロイドの構造を理解した時に、それが”nerves”神経や”sinews”腱(アキレス腱などの腱ですね)などの生体パーツでできていることを知った。そして、これがほとんど生き物とすら言える船であるとうことがわかった。ということですね。
ルーンの石板4
「感情が精神に伝わる。異常。我々のような存在。全体から切り離されている。注意せよ」
こちらは、訳がそれほど屈折しているわけではないのですが、原文がそもそも抽象的なために分かりづらくなっている例です。
“A feeling penetrates your mind. An anomaly, one like ourselves, unconnected from the whole. Caution.”
【“A feeling penetrates your mind”「ある感覚があなたの心に入り込む」】
“penetrates”は貫通するという意味の動詞です。ニュアンスとしては、有無を言わせず入ってきたという感覚かと思われます。
【“An anomaly, one like ourselves, unconnected from the whole.”】
“An anomaly”とは特異点、異常なもの。”one like ourselves”これは代名詞の”one”が私達に似ている。と言っていて、”one”が指すのは”An anomaly”かと思われます。さらに付加情報が続き”unconnected from the whole”「全体から切り離された」という情報が続いてます。
全文を総括すると…。
「ある感覚があなたの心に入り込む。特異点、我々に似ているが全体から切り離されている。気をつけろ」
というところでしょうか。「似ているが」と逆説的にしている根拠は、警告の内容が「特異点」と呼ばれる存在が我々に似ているのに「全体から切り離されている」というところにあるため、自然な日本語としてはやや逆説的に特徴を説明する方が読みやすいかと思われます。
全体と言うのは、イリシッドはエルダー・ブレインを中心としたいわゆるハイヴマインド、集合意識に繋がっている様を現しているものと思われます。
BG3を一度でもクリアした方ならば、この文書がある人物について言及しているように聞こえないでしょうか。結構重要な示唆が含まれた文章かと思われます。
ルーンの石板5
「目の前に世界を超えた世界が広がる。大構想による帝国。このような船によって横断される」
直感的ではない日本語ですが、逆に意味を想像しやすいと思われます。
“Worlds beyond Worlds”「世界のそのまた向こうの世界」というところでしょうか。とにかくこことは別の遠い世界という表現でしょう。”Empire of grand design”「大構想による帝国」つまりこれは未来の想像図であることを意味します。
大構想は滅んだ帝国の復活を目指して、イリシッドたちが共通の取り組みとしているものであり、それは成し遂げられていません。つまり、彼らの石板は誰かが思い描いた空想すらも共有可能であることがわかりますね。
最後の「このような船」はノーチロイドのことでしょう。”just like this”を直訳したものですね。今私達がいる船のようなもので「横断される」横断に対応する箇所は”traversed”が使われています。横断や航行を意味する単語です。ここは「これと同じような船が航行している」と読み替えてもいいかもしれません。
ここから少し妄想を膨らませると、以前お話した通りノーチロイドは現在かなり希少な存在ですから、それが当たり前のように飛んでいる未来という描写が、イリシッドたちの完全な復活を象徴しているものに思えますね。
探索中、船内で声を聞きます。「助けて!奴らが来る前に!」声の主は頭蓋骨を切除された死体です。インテレクト・ディバウラー、脳みそに四本足が生えたクリーチャーです。
インテレクト・ディヴァウラー 
イリシッドによって生み出される下僕で、その生産工程については今見ているままですね。イリシッドの儀式によって、彼らの奴隷などを使って生み出されます。
インテレクト・ディヴァウラーもまた、イリシッドの集合意識に組み込まれていることがこのシーンで示唆されています。彼らは自分たちを種族全体で一つの意識であるかのように考えています。しかし、助けを求めているのはこの個体にとっての個人的な状況です。
つまりどちらかというと、資料にもイリシッドの下僕やペットのような扱いとある通り、名前のついてない犬というように考えるのが自然かと思います。
群れという単位でアイデンティティを持っているものの、あくまで個体ごとの認知と意識があるようです。名前を尋ねると彼はアスと答えますが、これは”Us.We are us.”というセリフから来た呼称でしかなく、アスの答えとしては「我々は、我々だ」としか言っていません。
この場面でのアスとの会話で、我々もまた幼生を経由してサイオニックのテレパシーを利用できることが示唆されます。アスのセリフ
「我々はあるレルムに逃げ込んだ。アヴェルヌスと呼ばれるレルムだ」
このセリフですが、カタカナの「レルム」という部分は作中において世界や次元などを指す広い意味を持つ言葉です。厳密に次元という単位で話す時は”Plane”が使われることもある一方で、例えば「この世界」というのを「このレルム」と言い表すこともよくあります。
一応定義となる設定はありますが、文脈によってそれの指す範囲は様々です。かといってさほど難しく考える必要はないと思います。「世界」というふうに置き換えれば大抵成立します。
ただここでアスが使っている”Realm”は特にアヴェルヌスだけを指していますね。
ちなみに“Relm”というのは領域という意味の英単語です。
D&Dの世界全体を指す”Forgotten Realms”は「忘れ去られた領域」と訳せます。この名称は作品名に近いものですから、作中の人物たちが自分たちの世界をフォーゴトン・レルムということはありません。
最後に残り2つ手に入る石板についても見ておきましょう。
こちらは、さほど翻訳と原文とに大きな差はありません。
“Paint images of here in your mind: a brain, a githyanki warrior, and centuries of darkness.”
おぼろげなイメージがあなたの心に現れる。脳、ギスヤンキの戦士、暗黒時代。
作中の日本語では「おぼろげな」とありますが、おそらく”Paint images”という部分が鮮明ではないイメージというニュアンスで訳されたものと思われます。
またここでいう暗黒時代とは、イリシッドにとってのものと考えるのが自然かと思います。つまり、ギスヤンキの反乱による帝国崩壊以降ですね。イリシッドにとっての苦難の時代という意味かと思われます。
厳密に言うと、ギスヤンキの反乱は帝国崩壊という一連の流れにおける、きっかけの部分なんですね。そこから、他にも奴隷になっていた種族が抵抗の希望を持ち始め、ギスヤンキに続いて反乱を起こした。ということだそうです。
その後、イリシッドは散り散りになって地下世界に逃れていますが、このギスヤンキの反乱以降彼らに降り注いだ数々の苦難が、ここでいう「暗黒時代」に相当するものでしょう。
最後も翻訳と原文に大きな差はありません。
千年に及ぶ人型生物、すなわちエルフ、ドワーフ、ヒューマンなどの歴史があなたの目の奥へ閃光のように映し出される。
“A thousand years of humanoid history. Elves, dwarfs, humans, and more flash behind your eyes.”
これはほとんどそのままです。
強いて言及するなら、この映像は「閃光」という言葉が使われているとおり鮮明です。他の記録も鮮明に映し出される印象でした。ですが、先程のギスヤンキの記録についてはそうではありません。もしかすると戦いで負傷したものの記憶であったり、戦争のショックが映像を曖昧にしているのかもしれませんね。
もう少し踏み込むと、D&Dの資料においてもこの帝国崩壊は曖昧な記録というように扱われていて、イリシッドの起源も含め複数の説があるようにして扱われます。そのあたりが若干デリケートな可能性もありますね。
ちなみに、日本語のwikipediaでギスヤンキの項目を見ると、かなり詳細に帝国崩壊までの流れが書かれているのですが、英語圏のサイトなどでは同じ情報はなかったり、ある名詞が全く別の意味であったりと情報がかなり複雑です。
またD&Dは第4版で並行世界を扱っていたなどの経緯もあり、そちらの情報が混在しているケースもいくつか見られます。私の方では、ブログ冒頭の出典でお話した情報源のみに絞って、お話していますので、ご了承ください。
以上で終わります。
今後もBG3の各シーンから得られる情報、そこから読み取れるものをまとめて共有していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後になりますが、実はそんなにたくさんの方が読むブログだとは思っていなくて、今でもBG3を楽しんでいる方や、難しくてやめてしまったけどまだ気になっているという方がもしいれば、こちらで調べた情報を共有して、より世界に入り込めればという気持ちでやっていますので、目標としては10人の方に届けばいいなと思って続けていきます。
ブログの原文自体はBG3の最後まで準備はしていますので、ペースはまちまちかもしれませんが、お話の終わりまでやっていくつもりですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。