BG3読解

BG3の設定、謎の多い字幕などを読み解いていきます。

ぶらぶらBG3 02

ノーチロイド船内

前回に続いて、ノーチロイドからの脱出を続けつつ、船内の様子を見ていきたいと思います。

 

レイゼル

船内を歩く主人公をレイゼルは背後から観察し、奇襲します。「怪物め」と呼び、迷いなく剣を向けてきます。

しかしすぐにお互いの意識に変化がおき、戦闘には至りません。レイゼルには主人公、主人公にはレイゼルの思考が走馬灯のように駆け巡ります。

「隷属者ではないのか」とレイゼルは言います。隷属者。これはイリシッドにより奴隷化された者に対する蔑称です。

怪物、と呼ばれたのは寄生された者は一定期間後にイリシッドへと変化してしまう、いわばイリシッド予備軍であること。また、幼生を介してイリシッドが意識に干渉できるようになり、自由意志を失って行動することがあるからです。

普段は異常なく見えても、イリシッドのテレパシーで指示を受けるとそれに逆らえなくなるのです。レイゼルは主人公も自由意志を失った隷属者だと思っていたのですが、思考を共有したことでそうでないことがわかります。

「一緒に切り抜けられるかもしれない」

レイゼルは行動を共にすることを望みます。

ちなみに奴隷となっているからといって、必ず幼生が寄生しているわけではありません。寄生意外にもサイオニックによる精神支配で、他者を奴隷にする例も少なくないそうです。

 


寄生されるということ

イリシッドは強力な精神魔法を使いますが、幼生も例外ではありません。宿主の脳に寄生した幼生は、イリシッドからのテレパシーだけでなく、近くにいる幼生同士も思考を通わせることがあります。それは自己防衛的な働きであったり、より強力な精神干渉に強制されて発生する他、共存している限り任意で利用することもできます。ただし、先述の通りイリシッドからの指示を受けると宿主を操ろうとしますから、基本的には最悪の事態です。イメージとしては我の強いBluetoothだと思ってください。

作中では宿主が意図したり、イリシッドの強制力が働いていた部分以外でも、幼生を持つもの同士が近づくと必ず反応しますので、一旦すべてに反応するようです。やっぱりBluetoothですね。

 


もう一つ、最初にアスと遭遇した時に「我々を自由にするために来てくれた」と彼はこちらを味方であるばかりか、自分に都合のいい存在に違いないと判断しています。これはアスが主人公を隷属者であると考えていることの証左でしょう。つまり、幼生の存在を感知したもののほとんどは、その者がイリシッドの隷属者であると考える傾向にあります。

物語全体として結構見えにくいのですが、幼生に寄生されて変性していないもの自体は結構いるんです。ではなく、変性もしていなければ、イリシッドに操られてさえいない者というところで、主人公たち一行は特殊な立場にあります。これにも理由がありますが、ここでは割愛します。

ギスヤンキ

前回も少し触れましたが、ギスヤンキというのは種族名ですね。なので、今目の前にいるのは、ギスヤンキの戦士レイゼルということになります。

彼らはイリシッドと明確に敵対する代表的な種族で、はるか昔にイリシッドの奴隷であったという過去があります。彼らの敵対はその歴史が背景にあります。

非常にプライドが高い種族で、排他的であり同族以外を根本的に信用していません。高い戦闘能力と好戦的な性格で知られる種族で、彼らの社会は非常に厳格な縦構造になっています。

ギスヤンキという名称は、彼らがイリシッドへの反乱を始めたきっかけでもある「ギス」という一人の女声の名に由来します。

ギスは奴隷たちを率いてイリシッドに抵抗しそれを成功させただけでなく、地獄にいる竜の神ティアマトと契約を結び、レッド・ドラゴンを味方につけています。

レッド・ドラゴンとギスヤンキの契約には、この物語に大きく関わる秘密があるのですが、今は割愛します。

レイゼルと精神が繋がった際、レッド・ドラゴンの他に、銀の剣という幻視をします。レッド・ドラゴン、銀の剣というのは双方共に位の高いギスヤンキにのみ使うことを許されるものという点で共通しています。ただし、この時点でレイゼルが所持していたり、使用を許されているものではありません。これらはレイゼルが見た景色に過ぎず、彼女がそれを日々強く意識していること。つまり憧れの現れです。

ちなみにレイゼルの初期クラスはファイター。攻撃力が高く、近接戦闘を得意とするクラスです。これはギスヤンキという種族の特性をあらわしたものでしょう。彼らは非常に攻撃的な性格かつ身体能力が高く、ギスヤンキに生まれたものたちはすべからく優秀な戦士です。

加えて、ギスヤンキは訓練の中で殺人が発生することも厭わないほど、弱いものは淘汰されて然るべきという明確な弱肉強食思想を持っています。ですから、成人して戦士となるギスヤンキはほとんどが命懸けの訓練を乗り越えた者たちであり、故に過激で優秀なのです。

 


共に行動することになったレイゼルは治療法に心当たりがあるようですが、とにかく物質界についてからだといって主人公を急かします。

「まずインプどもを片付ける。それから舵を見つけて船の制御を奪う」

舵は”helm”が使われています。これは船の操縦系、舵輪などを広義に含む言葉で、この場合目的地はトランスポンダーなのですが、舵と言われるとピンとこない場合もあるかもしれません。

ここでレイゼルと協力し、トランスポンダーを掌握、アヴェルヌスを脱出し、物質界に戻る。ということで、目的が具体化されます。

ところで、ノーチロイドが現在アヴェルヌスにいることについてですが、これは意図されたものなのか、事故なのか、というところも少し考えておきます。

推測ですが、アヴェルヌスに来た事自体は意図的であると考えられます。

まず、ムービーシーンで爆発によってトランスポンダーが発動していますが、この時点でトランスポンダー自体は接続されています。

次に、アスがセリフで「我々は逃げ込んだ」と能動的なニュアンスの言葉を使っています。アスはずっと集合意識に繋がっていたはずですから、この言葉は信憑性が高いと考えられます。

ここにこうも長く留まるつもりはなかったかもしれませんが、アヴェルヌスを経由しようという考え自体は意図されていたのではないかと思います。

デヴィルたちの襲撃と混乱を利用して、ギスヤンキを撒こうとしたのかもしれません。

レイゼルとの同行は初めての戦闘から始まります。

インプ

イリシッドやそうでないものを、インプたちが見境なく殺し貪っています。これはインプが低脳で知性が低いために目につくものを何でもかんでも襲っている、というわけではないと考えています。ここに居るものは隷属者、つまり誰もがイリシッドに変成する可能性があるためで、この船に乗っているものは見た目関係なく全てイリシッドであると言っても過言ではありません。そして彼らデヴィルの目的がノーチロイドの鹵獲にあるため、トランスポンダーを起動できる可能性のあるものはすべて殺す必要があるんですね。つまり殲滅作戦を出されているので、それに則って皆殺しにしている。と考えています。

推測の根拠はといいますと、少しあとで登場する人物のセリフに「船を奪えなければザリエルに首をもがれるぞと」というものがあります。これは戦闘中に発せられるもので、会話シーンではありません。船を奪えなければ、というところで、破壊ではなく鹵獲が目的であるとわかります。また、アヴェルヌスの支配者であるアーチ・デヴィル、ザリエルから彼らに指示が出ていることもわかります。

もう一点、D&Dの設定におけるインプは「悪意ある助言と策略を以って人を堕落させたり、主人や主人が悪の道に引き込みたいと思っている者を助けるデヴィル」ということになっています。

決して知能が低い種族というわけではないんですね。むしろ狡猾、ずる賢い種族と言えます。本能のままに暴れるというタイプでもなさそうです。今目の前で彼らは歩兵のように扱われていますが、本来は臆病な性格で、すすんで自ら戦う種族でもないそうです。

彼らをそうさせているのは、今ここがアヴェルヌスであって、彼ら自身が群れて強気になっているからかもしれませんが、むしろ彼らをそうさせるより恐ろしい権威とそこからの命令という背景、つまりザリエルの命令であるからかもしれません。

ムービーシーンでもインプたちは群れで一斉に襲いかかっていて、ある意味統率の取れた動きをしていました。おそらくノーチロイドを奪えと指示を出しているザリエルの影がちらついているという描写なのかもしれません。

 

インプたちを襲撃して切り抜け、トランスポンダーを探して移動します。途中、捕虜のポッドを内側から叩きながら「助けて」と叫んでいる女性を発見します。主人公はポッドを開ける方法を探しますが、接合部分の仕組みが理解できず開錠できません。

レイゼルは「望みのない者に構っている暇はない」と急かしますが、中の女性は「何か方法があるはず」と懇願します。

ここからノーチロイド船内を捜索して、女性を助け出す手段を探すことになるのですが、その過程で船内の様々な設備や装置に触れることができます。

これらの装置がイリシッドの文化を感じさせる描写になっているので、次回はそれらについて触れていきたいと思います。お読みいただきありがとうございました。