ぶらぶらBG3 03
前回に続き、ノーチロイド船内を捜索して女性を助け出す手段を探すことになります。その過程で船内の様々な設備や装置に触れることができます。
これらの装置がイリシッドの文化を感じさせる描写になっているので、触れていきます。
捕らわれた女性は近くの装置を指し示して、イリシッドがそれに何かしていたと言います。言われた通りコンソールに触れますが、扱い方がわからないばかりか、他と違い触れてもなんの反応も示しません。些細なことですが、ここまでの探索の中で昇降機であったり、医療機器のようなものなど、実はイリシッドのテクノロジーにはいくつか触れています。
それらは、触れるだけで起動しましたし動作させることもできました。ここだけ突然セキュリティのようなものを求められます。結論から言うと単にある種の鍵がかかっているだけなのですが、その違いも含めて推測を進めていきます。
イリシッドのテクノロジーは彼らだけでなく他種族でも扱えるように作られている。そのような描写が複数見受けられる点が興味深いと考えています。
イントロムービーではイリシッドが遠隔操作していた養殖器も、それの小型版のようなものに物語の後半で触れることがあります。こちらは特になんの手続きもなく箱として開閉可能です。
ノーチロイドの操作もムービーでは全てサイオニックによる遠隔操作でしたが、後に同じ場所にいくと、コンソールのようなものが別途設備されているのがわかります。
イリシッドが形成する社会では、平均してイリシッド一人に対して少なくとも一人以上の奴隷がいるとされており、例えばオーリンドールと呼ばれるあるイリシッドの都市では、この物語のおよそ120年前、この世界の暦である「デイル暦」の1372年時点で人口が2,4000人弱。そのうちイリシッドは4300人ほどだったそうです。イリシッドの5倍近くの奴隷がいたことがわかります。このような人口の構成は、彼らが形成するコロニーにおいては決して珍しいことではなかったそうです。
念の為の注釈ですが、帝国が滅びたのは遥か大昔のことで、120年前といっても帝国崩壊からみればずっと後のことです。イリシッドの現状を語る上では問題ない例示と考えています。
イリシッドにもそれ以外の種族にも扱えるよう、ノーチロイド内の各種設備が配慮されているのは、奴隷という存在が前提となっているためだと思われます。
ノーチロイド自体が、帝国全盛期の船ですから、当時の設備であると考えるなら余計に奴隷の存在が前提となっているのだと思われます。
船の中には何人も隷属者の死体があります。単にこの騒動での脱走者というのもいると思いますが、おそらく船員として働かされていた者もいたからだと思われます。イリシッドではない隷属者たちは、我々自身もそうですが例え幼生を宿していても自在にサイオニック・パワーを扱えるわけではありません。なので船内作業をする場面があるとしたら、これらの装置で操作していたと考えています。
昇降機や回復装置、各種コンソールなど、主人公が触れるだけで扱えた装置は、共通して全て外向きに触手が生えています。これらのうち昇降機には「心と素早く簡単に繋がる」という説明があり、操作するにあたって精神的な繋がりが必要であることを示唆しています。
おそらく、サイオニックを検知して動作する仕組みではないかと思われます。
主人公の場合、アスがすぐ反応したように、サイオニックを扱うものにとっては頭にいる幼生が簡単に見つけられ、アクセスできる存在だとわかります。
では幼生を持っていない隷属者には操作できないかというと、そうでもないと考えられます。ギスヤンキは明確にサイオニックを使った技術や技をもっていますし、物語の中盤に出てくるある種族は、幼生が入っていないにもかかわらず、かつてイリシッドに奴隷化されていた名残で幼生が反応したりする描写があります。
このように、イリシッドに奴隷化された種族はすくなからずサイオニックを扱えたり反応するという特徴があります。
船内の機器を扱う認証手段の一つとして、サイオニックの反応を利用していたとすると、触れるだけで操作できる利便性と高いセキュリティを併せ持つかなりよくできたものに思えます。
触れるだけで扱えた機器については、もしかするとこの触手部分が使用者に反応して、サイオニックによる指示を伝達する役割があるのかもしれませんが、これ以上は妄想の色が濃くなりすぎてしまうのでこのあたりにしておきます。
養殖器についてはそのような触手はありませんが、先にも申し上げた通り別の場面で登場する同型の容器が普通に開けられるので、特に凝った仕掛けがないだけだと思われます。
昇降機にあると言いました説明についてですが「通り過ぎた者の心と素早く簡単につながることができる」とあります。「通り過ぎた」というのは明らかに直感的ではない日本語です。この翻訳文は原文を見つけられなかったのですが、おそらく装置に近づいたり、接触したというニュアンスで”pass it by”のような形で”pass”が使われていたのではないかと推測しています。
なんにせよ装置側がこちらと精神的な接触をする機能をもっているということだけは確かです。
今目の前にある使用できない装置をどうにかするため、船内を少し探索することになります。
同じ部屋にあと二人、寝かされた状態で意識を失った者がいるのですが、こちらも装置とは別の意味で重要なので触れておきます。「生贄にされたカルト教団員」とあり、意識はありませんが生きてはいるようです。当然、会話はできません。
アブソリュート教団
二人共髑髏が描かれたペンダントをつけているのですが、これはアブソリュート教団と呼ばれる宗教団体の入信者たちです。アブソリュート、「絶対」という意味の女神を信仰しています。
幼生を宿した者が多く含まれる団体で、そのほとんどは自らが寄生されていることを自覚していません。人格にも影響があり、アブソリュートと彼ら自身が呼んでいる未知の女神から受ける「啓示」に従い、どんなことでもする狂信者たちとなっています。啓示というのは、無論エルダー・ブレインをはじめとしたイリシッドからの指示ですね。
全くの別人になっているというわけではなく、根本的な性格や人格は多くの場合残っています。ただ価値観が大きく代わり、アブソリュートからの指示をすべてに優先していたり、それを至上の目的であると考えるようになっているのが特徴です。
今作の主要な組織の一つで、物語の根幹を成す存在です。そのため、後はこれから物語を進めながら情報を共有していくのがよいかと思いますので、今は概要に止めます。
生贄にされたとありますが、生贄とはどういうことでしょうか。新たなイリシッドとなるための宿主という意味であれば、変成が近いためにこうなっているのかもしれません。基本的にイリシッドへの変成は、二段階に別れているそうです。
まず寄生した幼生が脳を食いはじめ、やがて全て食い尽くされます。次に一週間にわたって体が変化していき、やがて完全なイリシッドになるそうです。資料ではこう書かれていますが、作中ではもっと一瞬で変化するような様子が度々描かれます。それにはBG3での特殊な状況と理由がありますが、ここでは割愛します。
彼らは死んでいるわけではありませんが、動けなくはなっています。一応サイオニックによる指示には従うようで、近くにあるコンソールで三種類の指示を出すことができます。
判定に成功することで三種類のボタンによる指示を読むことができ、「解放」「攻撃」「処分」となっています。「処分」は文字通り死を意味します。その際彼らの頭から強いサイオニックの光が発せられます。「攻撃」では彼らが立ち上がり、敵対します。最後は「解放」なのですが、これを押すとサイオニックのエネルギーが捕虜から放たれますが、起き上がることはありません。
肉体は生きているため、サイオニックによる操り人形にすることはできるのでしょうけれど、本人たちの意思で起き上がることはできないということだと考えられます。
イリシッドの主食はヒューマノイドの脳なので、食用という意味での生贄かもしれません。もしくはインテレクト・ディヴァウラーを生産するためというのも考えられます。
ちなみに「解放」は”Unleash”です。束縛からの解放や制限や抑圧を解放するニュアンスですね。
今調べた装置は文字を読む分には魔法学による判定が必要ですが、操作するのには一切必要ありません。これも、触れるだけで起動できるタイプのものです。
文字の判別に魔法学の能力が必要なのは、おそらく”Qalith”で記載されているためと思われます。これはイリシッドでないかぎり魔法を使わずには読めない文字というもので、彼らが常用する文字です。書かれていることだけでなく、書き手の思考までもを残すことができる文字で、今まで触れてきたルーンの石板も似た性質がありますね。
あちらは判定が不要なので、もしかすると隷属者にも読めるよう情報を出力しやすく処理されているのかもしれません。これは明言されている根拠のない妄想です。
探索を続けます。隣接した空間に特徴的な設備があります。
ノーチロイドに格納されている大量のポッドにアクセスできるようで、中でもある一つのポッドとその周囲を囲むように配置された椅子が特徴的です。
この椅子に座ると、主人公は「声が聞こえる」とつぶやきます。どうも椅子を介して集合意識と繋がっているようです。椅子に囲まれた中央のポッドには女性が一人入っており、意識を失っています。近くのコンソールを操作すると、この女性は一瞬でイリシッドへと変成してしまいます。
寄生後、十分な期間が経過した者をイリシッドへと変成させるための設備なのかもしれません。
周囲を囲う椅子には儀式的な雰囲気があります。新たにイリシッドとなった者を迎える場所なのでしょうか。これは見た目からの推測に過ぎませんので、強い根拠はありません。
椅子に座ると声が聞こえるということから、これがただの椅子でなく集合意識との接続、またはそれを強化する機能があることがわかります。はじめは変成を指示する意味があるかとも思いましたが、だとすると別途装置がある意味が薄れますね。装置が保険的な役割である可能性もありますが、さすがにそれだけではないと思います。
ノーチロイドという前提を加味すると、コロニーから大きく離れて行動していることも十分ありえることですから、その状態においても自分たちのコロニーで形成されているハイヴマインドに接続できる、という機能なのかもしれません。これもかなり妄想的な推測です。
寄り道が長くなりましたが、先程のポッドを解錠するための鍵はここにあります。
隷属者の死体がそれを持っており、アイテム名は「妖しのルーン」英語原文では”Eldritch Rune”となっており、”Eldritch”とは不気味あるいは神秘的なというニュアンスですね。
これを使うことで、コンソールと自分の中の幼生がサイオニックでつながるようになり、装置を作動させることができます。
「隷属者の死体」なのですが、よく見るとペンダントをつけているのがわかります。このペンダントが先程気を失っていた二人と同じものであり、この人物が教団員であったことがわかります。石板を使ってなにかの作業をしている最中に命を落としたようです。周囲に広く血が広がっていることから、外傷が死因である可能性は高そうですね。
この部屋でなにかをしようとした最中に、デヴィルによって殺されたのかもしれません。エルドリッチ・ルーンの方は、認証キーのような役割 ではないでしょうか。
コンソール自体の作りは他と変わらないのですが、この装置だけがルーンを必要とする上、いざ使用しようとすると幼生を経由したサイオニックによって、装置を屈服させなければならないという手続きがあります。いわば二重にセキュリティがかけられているわけです。
このルーンがあったとしても使用者を選ぶということですから、死んでいた女性もイリシッドにとってそれなりに信頼のおける奴隷だったのでしょう。
あるいは単に戦闘や衝撃によって欠損した可能性も考えましたが、コンソールが破損したりしている様子はありません。そもそも取り外しが可能だったと考えるのが自然かと思います。
ちなみに、魔法に高い専門性をもったクラスであれば、複数回の判定に成功することで、ルーン、つまり魔力がある文字によって保護されていると知ることができ、同様の文字を魔法で刻むことで即座に動作させることもできます。”Qalith”を応用して作られたセキュリティなのかもしれません。妖しのルーンの説明欄には、初めて見たはずなのに、大きな機械の部品であることがわかるとあります。日本語では「気もする」と曖昧ですが、英語原文では”You are sure”となっており、ニュアンス的にはかなり確信的です。
(原文“You are sure you’ve never seen any of the like, yet part of you recognizes it as a component of some bigger machine.”)
こういった情報を感覚的に理解できるのも”Qalith”の特徴と共通するものがあります。”Qalith”自体の資料には特に文字自体に力があるようなことは書かれていませんので、まず文字による認証。つまりパスワードの入力というプロセスを経て、次に生体認証という二段階のセキュリティを通過して初めて操作できるのかもしれません。魔法学の判定でルーンを刻んだ場合においても、最終的にはサイオニックによって装置を従えなければならず、開けるまでのプロセスに大きな違いがないこともあってこのように解釈しています。
もうおわかりの通り、このポッドだけかなり厳重です。捕虜のポッドを開閉するためのものですから、鍵と認証が必要であること自体にはさほど疑問はありませんが、我々が幽閉されていた場所にこのような装置はありませんでした。そのためかは不明ですが、現在の騒動という外的要因によって今脱出できています。このポッドは万が一の状況と言える今も開いていません。
なにはともあれ、ポッドの中の女性を助けます。女性の名前はシャドーハート。共に旅をする仲間の一人です。彼女は手短に礼をいうとすぐにレイゼルに向かって顔をしかめ「危険な仲間を連れているようね」と嫌味を言います。
ギスヤンキが他の種族からどういう印象を持たれているかがすぐにわかるシーンです。そんなことよりもレイゼルはこの救出劇全体に苛立っているのですが、この場は急いだほうがいいということで、三人は協力してノーチロイドからの脱出を目指すことになります。
この二人のいがみ合いは冒険全体を通して続きます。コメディタッチなものが殆どですが、なかにはシリアスな展開も用意されており、本作の見どころの一つですね。
さあ脱出を急ごうという場面で、シャドーハートは少し待ってといってなにか小さな物体をポッドから取り出します。それを見つけて安心した様子で懐にしまい込みます。なにかと聞いても気にしないでと言われ、この場面では言及することができません。
これについてはBG3の最重要項目の一つで、このポッドだけが厳重なセキュリティで守られていたのもこれの存在が関係しているのではと考えています。
ただそれを説明するには、物語全体を見通す必要があるため今は割愛します。
一旦今回の記事はここまでとします。
やや説明が冗長になってしまう部分もあったかと思いますが、ご容赦ください。
ありがとうございました。
